from 「Scar of Doll」.
――僕が覚えていた彼女の全て。
初めて見た彼女は、何を見ているのかわからなかった。
部屋は暗くて、
なのに気配ははっきりとしていて、
…どこか壊れているような。
虚ろな瞳に映るものは。
その時の僕は、
きっと彼女も僕の存在を喜んでくれるだろうと思っていたから。
――彼女は僕をヘイディと呼んだ。
彼女の周りはいつも静かだ。
あぁ、とても静か。
たまにヘイディ、と呼ぶ声がするけれど、それは僕を呼ぶ声ではなかったと思う。
彼女は、自身の名を僕に付けたのか。
あぁ、泣かないで。
僕が側にいるよ。
僕を抱いてちょうだい。
君の詩を聞いてあげる。